山頂記録2018.9.6

9月6日 am7:00
気温 : 8.4°c
風 : 強い
視界 : 30m
寒い、台風が去っても風治らず、視界も悪く山頂の天気は不安定

3、4年ぶりの秋田の暮らしは、初めて東京で暮らしはじめたそれと同じように、とても新鮮なものだった。
見るもの全てが美しく、空気はうまい、水が透き通り、風がまるで自由に吹いているのを感じる。
温められたアスファルトと気温との差で生み出され、ビルとビルの間を導かれるだけの東京の風を不憫に思うほど。

東京は不憫な街だ。
日本の未来はさらにあの街を追い込むだろう。
少子高齢化、人口減少、秋田みたいな田舎の方がよっぽどやばいじゃないか!
という意見は至極真っ当で世の常識のようにしばしば語られるが、それこそ机上の空論、人間はいずれ自分達が単なる自然のほんの一部だと思い知り、地球の、または宇宙の生命の営みから生きる術を一から学びなおすことになる。
それは大地の詩に耳をすます事であり、星空の下、己の小ささに全身で納得する事だ。
星空が天に在る事を忘れ、アスファルトやコンクリートに大地の口を塞がれたあの街を、人はいずれ出て行くしか生きる道はなくなるだろう。
その事をまだ誰も知らない。
もちろんその頃の自分も気づいていなかった、知らないという事は言葉になっていないという事であり、物事を言葉にする事だけを突き詰める詩人の運命は、感覚だけで何かを感じはじめたその若い詩人きどりに、閃きと苦悩と喜びと挫折をいくつも与え、実践的哲学により少しずつ真理へといざなうのであった。
朝起きて、体を動かして働いて、音を創り詩を描いて、夜の街に繰り出し仲間とライブする。
この街には東京には無い全てが揃っていた。

つづく。