山頂5時晴れ
気温13.8度
風弱い
視界良好
風もなく穏やかな気候の山頂。
番外編
〜たまにある山頂付近での滑落事故3〜
ヘリ搬送と同時進行で消防のレスキュー隊10名ほどが編成され登山口から登り始める。
万が一ヘリが飛ばなかった時にもなるべく早く傷病者の搬送作業へ切り替えられる為だ。
山頂小屋へなんとか運ばれた傷病者は最低限の応急処置だけを施されなんとか屋根のある建物の中で一夜を過ごす事になる。
痛みが増そうが気を失おうがもうヘリコプターのようなもので病院へ運ばれて治療を受けることはできない。
レスキュー隊がその日山頂へたどり着いたのは20時をすっかりまわった後、なんとか食事をとり既に電気を消し休んでいる他の宿泊客の隙間で10名の隊員は朝まで休息をとる。
傷病者本人やその仲間はどんなに不安な夜だろう。その家族は。
次の日の朝、山の天気は土砂降りの雷雨、レスキュー隊10名は持参した簡易担架に傷病者を乗せ、代わる代わる担ぎ手を交換しながら下っていく。
無論、一人で道を歩くのとは勝手が違い、道の幅も段差の大きさも一歩歩くごとに変化するのが山道というものだ。
ヘリコプターで傷病者がピックアップされ病院へ運ばれたのはよもや登山口近く、午後もすっかり回った後だった。
山でケガをするという事は、
誰かに助けられるという事は、
人間と自然との間には計り知れない隔たりがいつもあり、
それは今も昔も1ミリもかわらない、
「ケガと弁当は自分持ち」
人間ごときはいつも自然を敬い恐れおののく気持ちを忘れてはならない。