第2回 木のおもちゃ製作講習会

2016年7月2日、旧  鮎川小学校にて木のおもちゃ製作ガイダンスがありました。
今回は新潟から「ナカムラ工房」の中村隆志さんが来てくれました。木のおもちゃ作家です。彼の作った木のおもちゃの紹介をしてくれました。img_4174img_4184いくつかあるおもちゃの中で、大変ユニークなおもちゃがありました。
一見、普通のクルマです。しかし、押したり引いたりして遊ぶだけでなく、転がすとコロンと1回転して元に戻ります。
1つのおもちゃに対して何通りもの遊び方があるという、遊ぶ人が想像力を掻き立てられる斬新なおもちゃでした。
保育士としての経験をもとに、子どもが楽しんでくれる姿を思い浮かべながら、日々、木のおもちゃを作っているそうです。

由利本荘市からは、木工作家「木楽工房」の和田さんが作品を披露してくれました。img_4202
img_4208秋田の象徴的な木材である、秋田杉を使った星型の木のパズルでした。
6個の木のパーツを組み合わせると星型になります。この星型のパズルは10個、20個、30個と縦にも横にも積み上げて遊ぶこともできます。他にも、6個のパーツを組まずに、積み木のように積む遊び方があります。
こちらも遊び方が選べる木のおもちゃでした。

木のおもちゃ製作講習会に参加して

●遊びの幅があるおもちゃで遊ぶと楽しい。
●おもちゃの遊び方を制限せずに、いろんな遊び方をしてみると、新しい遊び方を見つけられる。
●秋田には自然豊かな山々があり、木が身近にある。大人も子どもも楽しめる木のおもちゃをどんどん製作してくべき。
●木工のワークショップなど、木のおもちゃに触れる機会をもっと増やしていきたい。

と感じました。

秋田で産まれた子どもたちが、秋田の木で遊び、秋田の自然に触れて、秋田の環境を考えていく未来を鳥海山木育推進センターとしても提案していきたいと思います。

鳥海山木育推進センター 太田 賢

第1回 木のおもちゃ製作講習会

国登録有形文化財、旧鮎川小学校にて、由利本荘市役所よりとにかく長い名前の部署、保育園民営化・地域資源を活用した遊び推進事務局主催の企画、木のおもちゃ製作講習会の第1回目が開催された。

まだ5月末とは思えない、日差しが強く気温も高い夏のような空、今にも蝉の大合唱が聞こえてきそうな由利町鮎川、140年前に開校し今から10年前に閉校、廃校になってからも地域住民らの手によって丁寧に維持管理されている見事な木造校舎の室内運動場を会場として、主に市内で木工に関わる職人や、我々のように木工品取扱業者、木育関連業者などに声がかかり、約20~30名程度の受講者が集められた。

講師は、現在日本の木育の最前線、東京おもちゃ美術館館長の多田千尋さんという方で、日本全国を飛び回り木育を広め歩くパイオニア、今回は木のおもちゃ製作講習会ということで、木のおもちゃを制作、デザインする側に向けた講義となる。

綺麗にワックスがけされた板張りの床にパイプ椅子を並べ、講師がパソコンの画面をスクリーンに写し、映像や写真を使い説明していくというスタイルで、高い天井、ひどく大きな壁一面の窓枠から差し込む光、照明も冷暖房も必要のない心地のよい空間で聞く講義は、まるで学生時代にタイムスリップしたかのような感覚に陥り、ほぼ初めて訪れたこの場所がとても懐かしく感じられた。

今回の講義はおおまかに2部構成、まずはじめに多田館長の自己紹介やこれまでの活動や現在の東京おもちゃ美術館の様子などの紹介があり、休憩をはさみ今回参加された木工職人達による作品のプレゼン型品評会が多田館長司会のもとそれぞれの作品を取り囲むような形で行われた。

前半の講義では東京おもちゃ美術館の紹介とともに、どのような経緯で廃校利用に至ったのか(東京おもちゃ美術館は廃校を利用して作られている)、出来上がるまでの様々な障害、苦労、それを乗り越えられた原動力は何だったのかなど、鮎川小学校をおもちゃ美術館にするという由利本荘市の計画を実行する上で非常に参考になるお話から、木育の何たるか、日本の木育、木材、森林の歴史、現状とこれからどうするべきか、そして秋田県、由利本荘市の現状はどうなのか、秋田杉の魅力、活用の方法など、ここに住む我々が気づきにくいこの土地ならではの価値についてもお話いただいた。

さらにその随所に事業を成り立たせるための経営方法や工夫、ヒントになるような他の土地の成功例なども織り交ぜられ、夢を現実に変え、それを街の未来へと繋いでいくためには避けられないビジネスの面からの視点も取り入れられていて、成功には、気持ちと行動と実績、この全てが必要であるというとてもシンプルで大切な方程式を再確認することができる内容であった。

後半は地元の職人達によるそれぞれの作品の紹介。多田館長とマイクを使い会話をしながらの紹介は、普段人前で話す機会などあまりない職人達をリラックスさせ、時に笑い声を交えながら和気あいあいとした雰囲気で進み、その作品達の魅力がそれぞれに引き出され、今後の改善点や新たな作品へと導くヒントになりそうなひらめきがふつふつと湧き上がるような空気を、我々見ている側にも感じられるようなとても有意義なセッションとなった。

旧鮎川小学校の未来と可能性について考えようというテーマの元、今まさに木育というワードが羽ばたこうとするこの街で、集まった木工職人達は自らの使命、役割をそれぞれ感じることができたのではないだろうか。

まずは実際に木に触れ、それを形作る木工職人達がこのプロジェクトを理解し、自分たちが動かなければという意識がなければ、目指す未来にはとてもたどり着けないであろう路のはじまり、第一の扉、しっかりと押し広げられたのではないだろうか。

鳥海山木育推進センター 松本学