山頂記録2018.8.24

8月24日 am8:00
気温 : 14°c
風 : 強い
視界 : 50m
風が強く吹き雨がパラつくガスの中の山頂。
明日にかけ台風の影響で山は孤立するだろう。

全くの初心者、ラップなんかした事もない、詩を書いた事もない自分がライブで歌う。
そう決まったのは、そのクラブイベント本番まで約1カ月前の事だった。
なぜその先輩は私を誘ったのか、それはよくわからなかったが、きっと興味しんしんが顔に出てたんだろう。自分では隠しているつもりでも。

わかりやすいヤツ。
きっと私は昔から、わかりやすいヤツ。

画して本番までの1カ月、初めて詩を書いて、初めてラップして、それを覚える為に初めてレコーディングをした。レコーディングって言ったって、その先輩の6畳程度の部屋にある簡易録音機のような機材にマイクを通し、誰かが録り始めたら他は物音立てないように黙る、失敗したらやり直す、その繰り返し。
ハードディスクもCD-Rもない、存在しない。懐かしのMDの出現していない、カセットテープの時代。世界中のアマチュアアーティストは、だいたいカセットテープに録音し、それを複製して自分達の作品を世界に発信しようとしていた。
近年ラジカセやカセットテープが再注目されている、というニュースをみるが、まさにこの時代のリバイバルに他ならない。
ダンスの世界とはまた違う、新しい世界に元々興味しんしんだった私は、初めてのステージへの緊張よりも、その新しい世界のあれこれにとてもワクワクしていた。
一緒に組んだ先輩に絶対の信頼を置いていたから、とも言えるかもしれない。
そんな刺激的な1カ月程度はあっという間に過ぎ、その日はすぐ目の前に現れた。

あの1日の、
他の誰かにしてみれば、
特になんの変わりばえのしない小さなパーティーの一部始終を、
何故か鮮明に覚えている。

昨日の自分のご飯も思い出せない忘れん坊の私が。

つづく。