山頂記録2018.8.31

8月31日 am8:00
気温 : 12.6°c
風 : 強い
視界 : 30m

土砂降りの山頂。一日中降り続く予報。

 

きっかけがなんだったかは思い出せない。

学校で友達もできた、
夜クラブに一緒に遊びに行く仲間もできた、
一人暮らしにも慣れた、
上京から3カ月あまりのある日、
居酒屋のバイト帰りの中野のアパートの布団の中でこう考えた。

「そういえば、
後期の授業料支払いの案内きてたな、
後期か、
親がそれ払うのか、
ところでこの学校の授業ってヒップホップに必要なの?
必要ないね、
いらないね、
音楽の常識とか楽譜とかMIDIとかどうでもいいよね、
ヒップホップって結局さ、
そういうものを一切知らないバカでも出来るってとこが素晴らしいわけじゃん
とりあえず時間ないじゃん
気がつけば学校行ってバイト行って帰って寝てるだけ
音楽つくる暇ねーし
そんなの意味ねーし
音楽作れなかったら意味ねーし
学校をやめてバイト増やして生きていけるな
学校行く時間消えたら音楽作れるっしょ
いけるいける
いけるっしょ!」

次の日の朝、
いつも通り朝アパートを出て、
西武新宿線に乗り高田馬場でJRに乗り換え渋谷は南口から歩道橋を渡り学校へ、
学校の窓口へまっすぐ行き退学の届け出を出した。
学校の入ったビルとむかえのビルの間から見える空は青かった。
それだけなんとなく覚えてる。

その日の夕方、
少し緊張しながら親に学校を辞めた事を電話で伝えた。
残念とか、どうしてとか、何やってんだ!とか、全然言わなかった。
ただ母親の声は、
ただただ心配そうだった。

後期の授業料支払い前の決断、ただそれだけの事だったのに、なんか申し訳なかったなとなんとなく思った。

今思えば、そりゃ入学金やら引越し費用やらなんやらかんやらかかっただろう。
でもそんな事は何も言わなかった。
ただただ心配そうだった。

その何日か後に母親から手紙が届いた。
急に学校を辞めたと電話で言ってきた息子を心配する内容の手紙だった。
生まれて初めて母親からもらった手紙だった。
いやいやそんなんじゃないし!
って思ったけど泣けた。

つづく。