山頂記録2018.9.10

9月10日 am9:00
気温 : 10.6°c
風 : 弱い
視界 : 30m
濡れガスと雨の山頂、今日の午後まではこの天気が続きそう。このブログも明日で完結。

「我は偉大な詩人なり、30の歳までに今世紀最高の詩を生み出し、そして命を絶つだろう」

けして自殺をしようと思ったわけじゃない

枕元に立った白い服の白ヒゲの杖をついた爺さんに告げられた、そんな記憶もない

ただ気がつくと、まるでそれはあらかじめ決められた未来だと知ってしまった、知らされてしまった、そしてそれを完全に信じてしまっていた。

きっかけについては思い出せない。
だから39の歳になる今思ってみても、あれがただの勘違いだった事しかわからないままだ。

その観念は更に音楽や詩に対する姿勢を自分の中にある感覚だけを突き詰める作業へと誘う事になる。

それは世界中の名だたる偉人と呼ばれる歴史上の芸術家や又は時の流れに埋もれていった名もなき天才達のように、名を残こす事や生きている内に世界に認められるなんて事なんてのは時代が決める事、その為に作品を残そうとか沢山の人に広めようとか伝えようとかいう作業からは遠ざかり、自分とは何か、自分の求めるものは何か、それだけが生きる理由になっていく。

出来るだけ他人を傷つけず、迷惑をかけず、ただただ自分の使命の全うだけに邁進する毎日。
日本も世界も家族も恋人も将来も、そのただ一編の詩を創る為の要素にしか過ぎなかった。
そのうち死んでしまうことに恐れはなかった、それはすなわち使命の全うの完成を意味し、それが自分の寿命であると信じていたから。

そんなある日、詩を描く為に始めた山登りの延長で秋の山頂付近に雪をのせた鳥海山へ一人で出かけることになる。
知識も技術も持たない山の素人のソロ、とても危険な山行きだったが興味が優った。

つづく。