2019鳥海山頂記録9月2日

山頂6時 小雨

気温8.5

風 弱い

視界 良好

風は治り小雨の山頂、残り1週間

2019.9.2

10年という時間の中で3

私が山小屋管理人として勤めた年の営業の終わり際、一つの宿泊小屋に壁と廊下をつくり個室部屋を作るという工事が行われた。

その新たな空間をみて、これは素晴らしい、ただ個室という事では勿体ない!

そんな感想を持った私は山小屋管理人初年度のぺーぺーの立場をど返しして自分に何かやらせてくれないかというお願いをしてみた。

半分訳もわからず神社の職員の方が

「まぁやってみな」

と言ってくれた事から、鳥海山頂美術館の企画が立ち上がり、山小屋2年目には第1回目の美術館開催が決まった。

初めて鳥海山に登ったのは25歳の頃、その時の山から街を見下ろした時の感動を、そしてそれ以後の下界から見上げる鳥海山への印象が全く変わってしまった不思議をはっきりと覚えていた。

その自分自身に起こった革命のような出来事は、それまで感じた事のないまでの自分の住む町への愛情を芽生えさせ、心からこの地に生まれて良かったという考えに至った経験から、街の人々を山頂へ導く術はないか、そんな発想から鳥海山頂美術館構想は始まった。

もちろん予算は無い、登山が趣味でもなんでもない人が登りたくなるような、そんな仕掛けを生み出したい。

そこで、山頂に登った人しか見る事の出来ない期間限定の地元アーティストの美術品の展示という案が決まった。

幸い私の周りにはアーティストが沢山いて、それぞれに発表の場や方法を探りながら活動を続けていた。

無いモノは無い。

ただ自分の周りに既に在るモノを最大限に活かして、自分が出来るだけの事をする。

しかも誰よりも自分が楽しみながら。

その精神は以後の活動の基本的指針となり、起業、会社設立へと繋がっていく。